2006年05月27日

弁証論治における代表的治法

「中医常用治療方法」より、(注記:数十年前に中医学書籍をピックアップして拙訳としてまとめていた資料の一つであるが、どの書籍をピックアップしたものか、当時の原文資料を現在探索中で、判明した時点で参考文献を記載したい。)訳文がとても拙いのは中医学入門初期の時代のせいであるが、何とか意味は通じるのでこのまま当時のままにしておく。気がつき次第、折々に修正するつもりである。

  (1)辛温解表
  外感風寒の表証に用いる。
  証としては悪寒発熱、頭項強痛、肢体微痛、無汗で喘し、脉は浮緊、苔は薄白が現われる。
  方剤は麻黄湯、葱鼓湯{葱白頭、淡豆鼓}を用いる。
  汗のある風寒表虚証で脉が浮緩では、桂枝湯を用いる。

  (2)辛凉解表
  外感風熱或いは温燥の邪の表証に用いる。
  証としては身熱頭痛、微悪風寒、汗があり、口渇咽痛、咳嗽、苔は薄白或いは薄黄、脉は浮数等が現われる。
  方剤は桑菊飲{桑葉、菊花、杏仁、連翹、桔梗、薄荷、芦根、生甘草}、銀翹散{金銀花、連翹、薄荷、淡豆鼓、荊芥、淡竹葉、芦根、牛蒡子、桔梗、生甘草}を用いる。

  (3)表裏双解
  表裏が同時に病む場合に用いる。
  証としては頭痛身熱、鼻塞流涕、胸部灼熱し、腹満して痛み、大便秘結或いは下痢し、舌苔は黄、脉は滑数が現われる。
  方剤は防風通聖丸、葛根黄芩○(オウゴン)黄連湯の類を用いる。

  (4)蕩滌攻下
  陽明の腑の実熱証に用いる。
  証としては潮熱譫語、腹満拒按、大便秘結、或いは熱結傍流{乾燥した便の排泄はみられずにしかもなお陽明の腑の実証のあるもの}し、苔は黄、舌に芒刺が起ち、脉は数で実が現われる。
  方剤は大承気湯を用いる。

  (5)増水行舟
  陽明熱実で、津液枯燥し、陰虚による便秘、或いはこれ下して通じない証に用いる。
  方剤は増液承気湯{玄参、麦門冬、生地黄、大黄、芒硝}を用いる。

  (6)清熱解毒
  温疫、瘡瘍腫毒に用いる。
  証としては身熱発頤、咽喉腫痛、甚だしきは煩躁狂乱、吐血衄血、舌は紅、苔は黄、脉は滑数等が現われる。
  方剤は普済消毒飲、消癰飲(原名は仙方活命飲)を用いる。

  (7)清熱利湿
  湿熱両盛や湿邪の熱化および湿熱下注に用いる。
  証としては身熱肢楚、胸悶腹脹、無汗心煩、或いは汗があっても熱が退かず、頭痛身重、霍乱吐利、下部湿瘡、尿赤渋痛、黄疸、舌苔は黄膩、脉は滑数或いは沈数が現われる。
  方剤は甘露消毒丹、八正散、茵蔯○蒿(インチンコウ)湯の類を用いる。

  (8)気血両清
  気血両燔に用いる。
  証としては大熱煩躁、昏狂譫語、口乾唇燥或いは発斑吐衄、舌質は紅絳、苔は焦或いは芒刺を生じ、脉は浮大で数或いは沈数、或いは沈細にして数が現われる。
  方剤は清瘟敗毒飲{生石膏、生地黄、犀角、黄連、山梔子、黄芩○(オウゴン)、桔梗、知母、赤芍、玄参、連翹、生甘草、牡丹皮、淡竹葉}を用いる。

  (9)養陰清熱
  熱病後期或いは陰虚火旺に用いる。
  証としては夜熱早凉、骨蒸盗汗、唇紅顴赤、咽乾心煩、形痩乾咳、舌は紅で少苔、脉は細数が現われる。
  方剤は青蒿鼈甲湯{青蒿、知母、牡丹皮、鼈甲、生地黄}を用いる。

  (10)清燥肺潤
  温燥傷肺に用いる。
  証としては頭痛身熱、乾咳無痰、気逆して喘し、鼻咽乾燥し、心煩口渇、舌は乾燥して無苔、脉は細数が現われる。
  方剤は清燥救肺湯{桑葉、生石膏、人参(沙参)、胡麻仁、阿膠、麦門冬、杏仁、枇杷葉、炙甘草}を用いる。

  (11)清気化痰
  熱痰内結、肺気不降に用いる。
  証としては咳嗽痰黄、稠厚膠粘、甚だしきは気急嘔悪し、胸膈痞満、小溲短赤、大便秘結、舌は紅で苔は黄、脉は弦滑数が現われる。
  方剤は清気化痰丸{二陳湯去甘草、加黄芩○(オウゴン)、瓜呂、枳実、杏仁、胆星からなる丸剤}を用いる。

  (12)清肝瀉火
  肝火鬱熱に用いる。
  証としては夜眠不安、脇痛口苦、咽乾目赤、煩躁易怒、耳聾耳腫、陰部腫痒、舌は紅で苔は黄、脉は洪実が現われる。
  方剤は竜胆瀉肝湯、瀉肝安神丸を用いる。

  (13)清心導赤
  心火亢盛或いは心熱下移小腸に用いる。
  証としては口渇面赤、心煩胸熱、口舌生瘡、小溲赤渋、舌尖が紅、苔は黄薄、脉は数が現われる。
  方剤は導赤散{淡竹葉、木通、生地黄、甘草梢}を用いる。

  (14)舒肝和胃
  肝気乗胃・胃失和降に用いる。
  証としては脘○脇に痛みが生じ、呑酸嘈○雑、噯○気嘔吐、苔は白、脉は弦が現われる。
  方剤は舒肝和胃散、四逆散を用いる。

  (15)健脾舒肝
  肝鬱脾虚に用いる。
  証としては両脇に痛みが作{おこ}り、寒熱往来、神疲食少、頭痛目眩、月経不順、乳房作痛、大便溏薄、舌苔は薄白、脉は弦にして緩が現われる。
  方剤は解鬱養血湯(原名は逍遙散)、痛瀉要方{白朮、白芍、陳皮、防風}を用いる。

  (16)消導和中
  傷食証に用いる。
  証としては胸膈痞満、腹脹して時に痛み、呑酸悪食、舌苔は厚膩、脉は滑が現われる。
  方剤は保和丸を用いる。


  (17)辛開苦降
  寒熱中阻痞塞不通に用いる。
  証としては心火痞満、乾噫食臭、或いは嘔吐下痢、苔は膩、脉は滑が現われる。
  方剤は半夏瀉心湯を用いる。

  (18)降逆止嘔
  肺胃失降、気向上逆に用いる。
  証としては心下痞硬、嘔吐噫気、エツ逆、喘咳等が現われる。
  方剤は旋覆花代赭石湯{旋覆花、党参、代赭石、法半夏、生姜、炙甘草、大棗}、橘皮竹茹湯{橘皮、竹茹、大棗、生姜、甘草、人参(金匱要略):橘皮、人参、甘草、竹茹、柿蒂、丁香、生姜、大棗(寿世保元)}を用いる。

  (19)温中散寒
  脾陽不足に用いる。
  証としては肢体倦怠、畏寒形冷、納呆食少、舌質が淡、苔は白滑、脉は沈が現われる。
  方剤は理中湯を用いる。

  (20)温化痰飲
  痰飲証に用いる。
  証としては胸脇支満、心悸目眩、短気して咳し、大便溏、口中和し、舌苔は潤滑、脉は弦滑が現われる。
  方剤は苓桂朮甘湯を用いる。

  (21)温陽化水
  腎陽虧耗、水邪泛濫に用いる。
  証としては四肢疼痛、沈重浮腫、心悸短気、小便不利、苔は白くて不渇、脉は沈が現われる。
  方剤は温陽化水湯(真武湯)を用いる。

  (22)回陽救逆
  亡陽虚脱、陰寒内盛に用いる。
  証としては四肢逆冷、悪寒、下利清穀、口不渇、頭暈気短、汗が出て油の如く、脉は沈微が現われる。
  方剤は四逆湯、参附湯を用いる。

  (23)温補腎気
  腎陽不足、下元の温養を失したのに用いる。
  証としては腰痛足弱、下半身が常に冷感があり、気怯神疲、少腹拘急、陽萎早泄或いは羸痩消渇し、小便不利或いは小便反って多く、尺脉に弱小が現われる。
  方剤は腎気丸、右帰飲{附子、肉桂、熟地黄、山茱萸、山薬、枸杞子、杜仲、炙甘草、茯苓}を用いる。

  (24)滋補腎陰
  腎陰不足、虚火上炎に用いる。
  証としては腰膝軟萎、骨熱峻痛、頭目眩暈、耳鳴耳聾、自汗盗汗、遺精夢泄、消渇淋瀝、足跟疼痛、咽燥喉痛、牙歯動揺し、舌は紅で少苔、脉は沈細数が現われる。
  方剤は六味地黄丸、左帰飲{熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、茯苓、炙甘草}を用いる。

  (25)甘温除熱
  脾胃虚弱、中気不足に用いる。
  証としては身熱有汗、渇して熱飲を喜び、頭痛悪寒し、少気懶言、脉は洪大ではあってもこれを按じて虚軟が現われる。
  方剤は補中益気湯を用いる。

  (26)気血双補
  気血両虚に用いる。
  証としては畏寒発熱し、身が重く少気し、羸痩して食欲が減じ、骨節煩疼し、煩躁して渇が作(おこ)り、舌質は淡、脉は弱を現わす。
  方剤は八珍湯を用いる。

  (27)養血柔肝
  血液が不足し、肝失柔養に用いる。
  証としては胸脇が隠痛し、呑酸吐苦し、喉がむせて乾燥し、舌に津液が無く、脉は反って細弱が現われる。
  方剤は四物湯加減を用いる。

  (28)滋補肝腎
  肝腎陰虚に用いる。
  証としては頭暈耳鳴、胸脇に痛みが作{おこ}り、腰と脛が痿弱となり、潮熱盗汗、咽乾津少、手足心熱、遺精夢泄し、舌は紅で苔が無く、脉は細数が現われる。
  方剤は一貫煎{沙参、麦門冬、当帰、生地黄、枸杞子、川楝子}を用いる。

  (29)安神補心
  心血不足に用いる。
  証としては心悸、精神衰疲し、夜は睡眠がとりにくく、頭暈健忘し、口舌に瘡を生じ、大便は乾燥、舌は痩せて尖が紅で少苔、脉は細数が現われる。
  方剤は補心丹{人参、玄参、丹参、白茯苓、五味子、遠志、桔梗、当帰身、天門冬、麦門冬、柏子仁、酸棗仁、生地黄からなる丸剤}を用いる。

  (30)交通心腎
  腎陰虧、心火上炎に用いる。
  証としては不眠、煩熱、口乾、舌は紅、脉は弱が現われる。
  方剤は二陰煎{生地黄、麦門冬、酸棗仁、玄参、黄連、茯苓、木通、生甘草}を用いる。

  (31)育陰潜陽
  腎陰虧損し、養肝することが出来ず、肝陽上亢するのに用いる。
  証としては頭目眩暈し、目が脹り耳聾し、心中煩熱し、頭部に疼痛が作{おこ}り或いは肢体次第に不利になるのを感じ、脉は弦長で有力を現わすのに用いる。
  方剤は鎮肝熄風湯{牛膝、代赭石、竜骨、牡蛎、亀板、白芍、玄参、天門冬、川楝子、麦芽、青蒿、炙甘草}を用いる。

  (32)通経活絡
  気血阻滞して起こる中風、麻痺、萎痺、痰厥、流注等の証に用いる。
  方剤は大活絡丹、小活絡丹{製川烏頭、製草烏頭、天南星、地竜、乳香、没薬}の類を用いる。

  (33)活血化お
  蓄血を去おするのに用いる。
  証としては疼痛が移動せず、或いは肩部が麻木し、少腹脹満し、唇舌が黯或いは紫斑を発し、月経不順、小便自利し、脉は渋が現われる。
  方剤は桂枝茯苓丸を用いる。

  (34)芳香化濁
  湿傷脾胃に用いる。
  証としては胸膈満悶、悪心嘔吐、倦怠嗜臥、腸鳴腹泄、口淡で苔は膩、脉は濡が現われる。
  方剤は藿○(カッ)香正気散を用いる。

  (35)芳香開竅
  熱入心包或いは湿濁蒙蔽清竅に用いる。
  証としては高熱驚厥、神昏譫語等が現われる。
  方剤は牛黄丸、至宝丹{犀角、玳瑁、琥珀、朱砂、雄黄、牛黄、安息香、龍脳、麝香}を用いる。

  (36)托膿生肌
  瘡瘍兼気血不足に用いる。
  証としては癰疽がまさに潰れようとし、紫陥無膿、根脚散大が現われる。
  方剤は透膿散を用いる。
posted by ヒゲ爺 at 14:32| レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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